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 概要

タイトル 朝日・大学シンポジウム 声優学概論 始めに「声」があった。(情報ページ
場所 グランキューブ大阪 (大阪国際会議場)
日時 2013年12月15日(日) 14:30~18:00
出演者(敬称略) 杉山佳寿子、古川登志夫、野沢雅子、真地勇志、松野太紀、伊倉一恵、森田成一

内容

第1部
学生による成果発表
14:30~16:00
  • プロローグ「舞」と「群読」
  • 「ことばで遊そぼ」
  • 「金庫破りと刑事」
  • 「グスコーブドリの伝記」(ダイ博士役:平野正人さん)
  • アニメーションアテレコ「小さなお届けもの」(解説&ナレーション:松野太紀さん)
第2部
花形声優たちのシンポジウム
「声を学問する」
16:15~18:00

第1部 14:30~16:00

平野正人さん見どころ

「グスコーブドリの伝記」にて「ダイ博士」を演じられます。
生で演じられるところを拝見できた感激。
さすが、間の取り方の上手さが段違い! とても自然で聞きやすいです。
ハケるとき、両手で持った台本を車のハンドルのように左右に切ってハケていかれました。かわいらしくて印象に残っています。

「グスコーブドリの伝記」劇後の、石川豊子さんとの対談コーナーでは岩手弁を披露。
最後には「今でしょ! (2013年新語・流行語大賞を受賞した言葉)……なんて」とお茶目な一面も見せてくださいました。

松野太紀さん見どころ

「小さなお届けもの」にてあらすじなどの前振りおよび本編のナレーションをご担当。
下手側に立って台本を片手に説明されます。

服装は全体的に黒い装いの中で、ぱっと目を引く白いブーツ。
ブーツインがかわいい。松野さんをかわいいと思うのは、やはり長浜アリスちゃん(2013年9月16日のスラップスティック・リメンバー・コンサートに特別応援ゲストとして出演されました)の影響でしょうか。
立ち姿は背筋が伸びている、一本線が通っているような、真っ直ぐの姿勢です。

第2部 16:15~18:00

一部終了後、15分休憩を挟んで16:15開幕。
大阪芸術大学学科長の岩崎富士男教授が登場、少しお話されたのち、舞台下手側に用意されている司会進行の席へ。

パネリスト登壇

お待ちかねの先生方をお呼びしましょう、との言葉に会場から拍手。
舞台上手側に青い布のかかった長机が用意されていて、出てこられた方から順に座っていかれます。
(座席位置:下手側から、杉山さん、古川さん、野沢さん、真地さん、伊倉さん、松野さん、森田さん)

流れは

  1. 舞台上のスクリーンにて、代表作のアニメ等の1シーンが上映される
  2. スクリーン表示が切り替わり、箇条書きで代表作(役名)が4~5つ表示される
  3. 岩崎教授が上3つほどを音読
  4. スクリーン表示が切り替わり、ご本人のお名前と、大きくお写真が表示される
  5. 岩崎教授がお名前を呼ばれ、ご登場

これを全員分繰り返します。

登場時アニメ等
杉山 ハイジ(アルプスの少女ハイジ/「クララが立った!」のシーン)
古川 諸星あたる(うる星やつら/女の子たちに寄っていくパーティーのシーン)
野沢 孫悟空(ドラゴンボール/劇場版「神と神」より)
真地 ケンミンSHOWナレーション
伊倉 槇村香(シティーハンター)
松野 金田一一(金田一少年の事件簿/「学園七不思議殺人事件」からのワンシーン)
森田 バーナビー・ブルックスJr.(TIGER&BUNNY)
古川さん

登場される際、客席に向けて両手を振ってくださいます。ふ、古川さん好き…(登場だけで早くも虫の息です)。
スラップスティックのコンサートに行かれた方ならお分かりですね。アレですアレ。
私あの古川さんがすごく好きなもので、もう喉まで歓声が出かかりました。
着座されると、先に席に着いていらした杉山さんと会釈をされます。
その後、スクリーンと登場される方を見ながらもちらっちら古川さんを見ていましたら、テーブルの上に肘をついて両手を組んでいらっしゃいました。癖かな?

松野さん

着座された後だったか、岩崎教授がトチられたか松野さんをイジったか何かで、手で顔を押さえてあーと椅子にもたれる松野さん。
このシンポジウムでは森田さんに次ぐ若手のため、何やかんやでイジられていらっしゃいました。
ちなみに、森田さんの登場の際には思いっきり振り向かれ、スクリーンに映されるTIGER&BUNNY(紹介映像)を観賞されていました。

自己紹介兼実演

岩崎教授「お客さんも期待されてるだろうから、キャラクターで一言」
一言と言いつつ、どなたもわりあい長く時間を割いてくださいました。記憶があやふやな箇所も多いので印象的な部分に絞っています。

杉山 ハイジ(アルプスの少女ハイジ)
古川 エース「できの悪い弟を持つと、兄貴は心配なんだ。おめェらもコイツにゃ手ェ焼くだろうが、よろしく頼むぜ。火拳! 」(ONE PIECE)
野沢 孫悟空「オッス!オラ悟空!」(ドラゴンボール)
真地 ケンミンSHOWナレーション
伊倉 槇村香(シティーハンター)
松野 金田一一「じっちゃんの名にかけて!」(金田一少年の事件簿)
森田 黒崎一護「黒崎一護だ。よろしくな!」(BLEACH)
古川さん

一言で終わるかと思ったのに、火拳までやってくださいました!何がすごいって言い終わった古川さん、ダブルピースを…ダブルピース…を…(遠ざかる意識)
今日来てよかった、と心底思いました。

教壇に立った感想

杉山 「生徒と一緒になってものを作るのが面白い」
古川 「俺もこんな時期があった、と昔の自分を見るような気持ち。昔の自分だと思うと、愛しくも感じるので、一人ずつキスしてやりたい。セクハラだからやりませんけど(笑)愛しいから何とかしてやりたい」
野沢 「自分も生徒側に入って(一緒にものづくりをして)みたいと思った」
真地 「生徒にとっては、これが初舞台になる。今日がスタートラインになるのかなと思うと感慨深い」
伊倉 「今年はスケジュールの都合で、授業には参加できなかった。生徒にとっては初の大舞台で、面食らったかと思うが、頑張ったことを褒めてあげたい。それと、古川さんと同様だが、生徒たちを見ていると、昔の自分を見ているように感じる。一緒に学んでいきたい」
松野 「生徒たちが日々成長していくのが嬉しい。この舞台に挑むために、初めて経験するような様々な準備を重ねてきたと思うが、それらを通して大きく成長していくと思う」
森田 「(先程の第一部を見てすごいと思うと同時に)ここに自分の生徒が一人もいないというのは寂しいですね。実は僕は自分の塾を持っているんですが、これほどの素晴らしい教員の方々と共にものづくりができるという点では、学生を羨ましくも思っている。これからは教える立場で関わっていきたい」
野沢さん

野沢さん、他の方が話されるときはしっかりその方を見つめていらっしゃいます。
お話の中身だけでなくこういう部分に気付けるから、やっぱり生で観る、会場に行くことって得るものが大きいなと思います。

古川さん

マイクは基本的に両手持ち。
松野さんが話されるときには、古川さんも松野さんを見ておられます。机の上で肘を突き、指を組んでいらっしゃるようでした。

伊倉さん

話を始められる前に、岩崎教授が「昨日(自分が伊倉さんの乗る)新幹線迎えに行ったよね」と振られたため、いきなり話の腰を折られる伊倉さん。(岩崎教授は基本グダグダでフリーダムです。)
古川さんが「僕のとき迎えありませんでしたけど。女性だと迎えに行くのか」とつっこみ。

松野さん

松野さん、話し終わられて「な、森田!」と元気よく隣の森田さんをぺしっと叩きます(笑)
二人でわちゃわちゃやるので、岩崎教授から「そこの高校二年(金田一)と一年(一護)ちゃんと聞きなさい」というような注意が飛びまして(笑)

心に残ることば

はじめに

学科長から唐突に話を振られて困惑した杉山さん、机の上のマイクを持たれ、隣の古川さんを向いて「あたる…ワイはテンや」とテンちゃん声。かんわいいーっ!
振られた古川さんもマイクを持って「ジャリテン!何しとんねん!」とテンとあたるの掛け合いへ。
嬉しい、ありがとうございます! しかもあたるの大阪弁とは。貴重ーッ!

杉山 「亡き父の言葉だが、「ケ・セラ・セラ」という言葉が心に残っている。呪文のように唱えていると、物事がうまくいくように感じている」
古川 「杉山さんはお父さんからとのことだが自分は母。敬虔なクリスチャンだった母親が言っていた、「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい(テサロニケの信徒への手紙Ⅰ 5章16~18節)」という言葉。辛いことは良いことが来るためのプロセスという考え方だったため、「自分が死んでも泣かないで欲しい」とも言っていた」
野沢 「『夢』 。これは誰かに貰った言葉ではなく、自分の中で持っている言葉。常に夢を持ち、そして自分で掴んでいきたい」
真地 「今でこそナレーションの仕事が多いが、元は俳優だった。生活が厳しいような下積みの時代に先輩俳優から頂いた言葉で、「続けることも才能の一つ」。諦めてしまえばそこでおしまいなので、生徒たちにも、諦めずに続けて欲しいと思う」
伊倉 「カコ(杉山佳寿子)さんがお父さんからって仰いましたが、私も父からです。父からの「今は波待ち」という言葉。オーディションをたくさん受けて最後2人のところまでいくが、最終でよく落ちて、才能がないのかと悩んでいた時期がある。そんな折、父がくれた言葉。「今の波に乗ると(今の役に受かると)、その後来る大きな波に乗れなくなるかもしれない」「後で選ばれるために、今は失敗するということもある」というような意味。そのときは反発も感じたが、その後、シティーハンターで香役に選ばれたときに「今までにないヒロイン像で新鮮な声でした」と言われて、自分はこの波を待っていたのかな、と思った」
松野 「誰かからもらった言葉ではないが、「絆」「信用」「感謝」という三つを大事にしている。人との関わり合いが多い職業だが、これら三つのことを守れているかどうか確認するように心がけている。また、山田洋次監督の映画に出させていただいたときに……なぜか僕のことをコメディアンだと思っていたみたいなんですけど(笑)人に笑いを与えるのは良いこと」という言葉を頂いたので、人を笑わせることができるような人間になりたいとも思っている」
森田 「役者になるときに親に猛反対された。三日三晩話し合って、その時に、姉が「この子は自由奔放な子だから好きにさせてあげて」と助け舟を出してくれたお陰で、丸く収まった。その後、姉が部屋に来て言った「平凡に生きることほど難しいことはないのよ」という言葉。普段は大人しい姉で、今までそのようなことを言ったことなかったため、余計に印象深く残っている。その後、色々なバイト(土木から引っ越し、ジェットコースターの兄さん、喫茶店の兄さん、ギャルソンなど)をして、世の中を見た結果、全ての仕事はサービスの対価としてお金を得ているということを学んだ。演じるということは、平凡さも含めて人間を描くことであると思っているので、そのような経験を活かした視点で役を捉えるようにしている」
杉山さん

途中、フリーダムな岩崎教授が「ケ・セラ・セラ~♪」と歌い出し、杉山さんとデュエット。このシンポジウムは当初考えていたよりもずっとくだけたものでした(笑)
森田さんが「僕ら置いてけぼりです」とつっこんで軌道修正。

古川さん

古川さん、机の上で組んでいらっしゃる手は左手が上です(有り難いスクリーン)(観察日記か)

野沢さん

はっきり仰います。憧れるなぁ。野沢さんの姿勢には頭が上がりません。

松野さん

山田洋次監督にコメディアンと思われていた、との発言の後に

森田「違うの?」
松野「(クロコーチの真似で)せぇ~いかぁ~い!」
真地「そういうところが(芸人)だよ(笑)」

というようなやりとりが(笑)

森田さん

森田さんが喋り始める前に……

岩崎教授「成一」
森田「なにお父さん」
岩崎教授「一護」
森田「色んなパターンでくるね(笑)」
岩崎教授「高校一年だな。大学はどこ入りたい」
森田「大阪芸術大学」
岩崎教授「よし」

こんなやりとりを挟みます。CMでしょうか?(笑)

ハイジが尋ねる声優たちのここだけの話

岩崎教授「業界の裏話を聞きたい。でも僕は喋るのプロじゃないから主任の杉山先生よろしく」
イヤラシイ話を聞き出してくれという注文で司会が杉山さんへバトンタッチ。
丸投げとも言います。

古川さん

古川「カコさんとはデビュー作から一緒ですね。「(マグネロボ)ガ・キーン」」
会場「おおーっ」
杉山「天敵は?」
会場「(いくつかくすくす笑いが起こる)」
古川「マコ(野沢雅子)さんと「(ドラゴンボールZ)神と神」という映画をやりました。神。神と聞くと神谷明」
ですよね!(笑)
古川「「(ちょっと高めに声を張って)やー!登志夫ちゃんオハヨー!」って来るから僕は「あー嫌な奴きたなー」って思う」
周り笑い。
古川「何度一緒に同じ役(のオーディション)やったか」
深く聞かせて、と杉山さん。色んなところで話してるからまた言うの?とちょっと渋る感じの古川さん。それでも話してくださいます。

北斗の拳のオーディションはケンシロウで受けられた古川さん。この時も神谷さんと二人で最終選考に残り、どちらかがケンシロウ、どちらかがシンをやることに(選考では両方読んでくれと言われたそう)。
選考は原作を読む形で行われたそうで、古川さんいわく「神谷さんは原作を全部読んでくるタイプ」。
古川「原作を開くと『アタタタタ』(このアタタタタ、が棒読みで何だかかわいらしい。)って書いてある(客席笑い)。原作を知らなかった自分は、殺陣をやっていたので剣道みたいな感じかと思い「アター!ター!ター!」と演じたのだが、神谷さんはいきなり立ち上がって「ハァァァァ(吐気)…アタタタタタタ!終わった…」って。勝てるわけないよ(笑)」

古川さんの神谷ケンシロウが聴けるとは!!感涙ものです。あの神谷さんが生み出された高音の「アタタタタ」を古川ボイスで…。ちなみに「終わった」は二枚目の古川ボイスでした。

野沢さん

野沢「最初のオーディションはゲゲゲの鬼太郎だった。ありがたいことに、役は指名で頂くことがほとんど。オーディションを受けたのは、「ゲゲゲの鬼太郎」「銀河鉄道999」「ドラゴンボール」の三回」
杉山「どれも受かっていらっしゃいますよね?」
野沢「原作者さんの方から自分の声を選んでいただけたとお聞きしています」

真地さん

真地「今は大体、指名でお仕事を頂くが、昔はオーディションも受けていた。アニメのオーディションも受けたが、ほぼ選ばれなかった 。ナレーションは、ボイスサンプルを聴いて選んでもらうことも多い。そのため、自分の授業では、ボイスサンプル作りも実習として行っている」

伊倉さん

伊倉「シティーハンターのオーディションの話ですが…」
ここで古川さんが「ちょっと喋らせて」と。
CHのオーディションも古川さんと神谷さんが最後に争われたそうで。
古川「神谷ちゃんと僕がやって」
(周りが「それもか!(笑)」)
古川「ディレクターが「多分古川さんに決まると思う」って言って、これほんとの話ですよ。そしてオンエア観たら神谷さんがやってる」
(周り爆笑)

そんな危険な裏話を挟んで伊倉さんのターン。
伊倉「あのときは、二日酔いの状態でオーディションを受けてしまった。飲んではいけないと分かっていたが、偶然中学時代の同級生と再会したというような状況で、つい飲んでしまった。しかし二日酔いの状態の声が、逆に、従来のヒロイン像とは違う香の声に合っていたのか、結果として選ばれた。前日に飲んでしまったとしても、香という重要な役を得ることができたので、そういう巡り合わせもあるのかな、と思っている」

杉山「私もハイジのオーディションのときは風邪をひいていた。熱が39度あって、当時の女性がやる少女の声のような、かわいい声が出なかった。少しハスキーな感じだったが、その声色が「隣に住んでる女の子の声みたい」と、逆にリアルに感じられたらしく、採用されることになった」

松野さん

松野「適当にやると…というと語弊があるが、そのような場合でも受かることがある」

杉山「オーディションでいくと、私は実はラムちゃんで受けたんですよ」
古「僕カコさんから電撃くらってたかもしれなかったわけだ」
杉山「オーディションに行くと、私たちはキャラクター表というものを渡されるんですね。それで私がやるラムちゃんどこかなーとページをめくっていたら、「(テンちゃん声で)ワイはここやここや」って呼ばれました」
そんないきさつからテンちゃんのオーディションをお願いされたところ、他の方が終わるまで待てるならばよいと返答されたそうです。
最後まで待機して受けた結果、杉山さんが採用されました。

松野「登志夫さんと同じ…古川先生と同じです。僕は勝平ちゃんと(オーディションが)一緒で。 オーディションで二人残ることもよくあったが、ほぼ全敗だった。しかし金田一では勝てた。「生物室」も「放課後の魔術師」も上手く言えず、「せいぶちゅしちゅ」や「まじゅちゅし」になってしまう。それでもうこれは駄目だと思って、「おーい美雪ィ!」と軽い感じでやったら、それが良かったみたいで受かった」

古川「(天敵を持つ者同士)仲良くしましょう」
松野「山口勝平見たら意地悪してくださいね。僕も神谷明さん見たら意地悪します」
この発言には周囲から口々に「できるかー?」と野次が飛びました。
古川「でも井上和彦さんはいいですよね。僕勝ちました。デビュー作で」

森田さん

森田「自分の場合は、アクシデントがあった方が受かる、というジンクスがある。BLEACHの際は、オーディションの日付が、デスクさんのミスで連絡されていた日時と異なっており、休日にバイクでツーリングに出かけようとしていたところに電話を受けた。その時はもうあと10分というところで、間に合わないと思ったが、原作も読んでいたし、そのシーズンで一番大きなアニメだったから受けたかった。一番早く行ける交通手段を考えたところ、僕その時片手にヘルメットを持っていたので(笑)、急遽バイクを飛ばして向かうことになった。既にオーディションは始まっていたので、もう駄目だと思ったが、二次選考、三次選考と進み、結果として役を得ることができた」

杉山「三次選考まであるって珍しいよね」
森田「確か三次までありました。最近では、キングダムのときに、主人公の信を第一希望、政を第二希望として受けるように言われていたが、政のオーディションを受けた後、お疲れさまですと言って帰された。疑問に思って、受付で「信も受けるように言われてるんですが…」というと「じゃあ受けます?」という軽い返事だった。結局は名簿から漏れていたらしいが、結果として信の役をいただくことができた。政は福山潤君に決まっていたので、あのとき信を受けに行かなければ、役が貰えていないところだった」

学士達からの質問

ここで、進行が杉山佳寿子さんから岩崎教授に戻ります。

杉山さん

Q.ハイジはサンタを信じていたと思いますか?
古川「アカデミックな質問ですね…(笑)」
A.そうだと思います。家の横に大きなモミの木もありますし。オープニングでブランコに乗っているくらいだから、飾りつけもできるでしょう。

Q.最近トライのCMでハイジをよく観ます。ハイジ世代の方が、今は親御さん世代の方になっているのかと思いますが、あの頃の声優さんと今の声優さんとの線引きについて教えてください。
A.特に線引きはない。先ほど古川さんが言っていたように、今の子たちを見て、昔の自分のように感じることもある。ただ、失敗を恐れたり、正解を求めすぎたり、間違うことを恥ずかしいと思ったりするような傾向は見受けられる。失敗はいっぱいしたほうがいい。大勢の前で恥をかいたっていい。怖がらずに、是非積極的にトライしてもらいたい。

Q.これからの声優さんにトライしてほしいことは?
A.失敗を怖がらずにやってみること。また、若さとパワーは私たちでは勝てないものだから、その強みを全面的に押し出してほしい。要は大きな声で、元気よく!

古川さん

Q.古川さんにとってのサンタクロースは?
A.(間髪いれず)カミさんですね。
会場が「おおーっ」とどよめき。
古川「ノロケとかじゃなくて、実際いないと困る。いつも自分を助けてくれている」
この自然体さがね…焦って否定しなくて、当たり前のことを話す表情と声と口調です。

Q.バトルものに出演されることが多いですが、バトル物の宿命として、自分のキャラが次のページで死ぬというとき、その台詞に向かう気持ちを教えてください。
A.次のページで死ぬんだな、と思って演じています。自分の場合、体に穴を空けられて死ぬことが多いんですよね(会場笑い)エースもホークス・アイも、ピッコロも…。コレ、回答になってるのかな…(笑)

ホークス・アイ!まさかの!
今思い返すと、もしかしてセーラームーンの新アニメのことが頭にあったから鷹の目の名前が出たのかもしれませんね。アマゾントリオきます?古川さんの新作観たいです~。

野沢さん

Q.サンタクロースに会ったことはありますか?
A.あります。

Q.どこでですか?
A.自分の家。自分自身がサンタクロースだから。
野沢さんってすごくハキハキ話される方で、きいていてビッと背筋が伸びる気がします。素敵です。

Q.先ほど、心に残る言葉は「夢」と仰いましたが、今の夢は?
A.生涯現役!

森田さん

Q.何歳までサンタを信じていましたか?
A.ずーっと信じてるよ(やけに甘い声)。NASAが毎年追ってるでしょ。ホームページ見たことない?サンタはいるんだよ~!

Q.ズバリ、声優はモテますか?儲かりますか?一番モテそうな森田さんにお伺いします。
A.(松野さんから「どういうことだよ!」とヤジが飛ぶ)モテるよ。人気商売だから、観客の目を惹くことは重要。そのためには、自分の内面を磨くこと。天賦の才も必要だと思うけど、それに甘えるとしぼんでいくので、もっと勉強して、お客さんの目と耳を惹いてほしい。
松野「結局どうなん、儲かってんの?」
森田「そこそこやねぇ~(笑)」

Q.つまり、内面を磨けば儲かると?
A.だからー!お金じゃなくて!まっすぐやれって言ってるの!!何でそこに話を戻すの?(笑)

Q.声優になって変わったことは何ですか?
A.12年前にファイナルファンタジーXに出演したのが初めて。12月26日にHDリマスター版が発売されます(宣伝)。声優としての演技は、全て現場で覚えた。舞台で声の演技を活かしたり、逆に俳優のスキルを声の演技に活かしたりすることができるようになり、表現の幅が広がったように思っている。

真地さん

Q.これまでで驚いたプレゼントは何ですか?
A.ウルトラマンとだけ聞いて、自分の役も知らずにスタジオに行った。皆から口々に「よろしくお願いします」と言われて何やるんだろう?と思っていたら、ウルトラマンティガの役だった。「ジュワッ!」だけで全てを表現するのは難しかったが、子供の頃から観ていた番組だったので、自分にとっては最高のプレゼントとなった。

Q.台詞とナレーションとの違いを教えてください。
A.授業の中でも言っているが、自分の場合は「ナレーションを演じに行っている」というスタンスであるため、特に区別はしていない。ナレーションでも、番組の色に合わせて声を変えている。

伊倉さん

Q.もうすぐクリスマスですが、サンタに連れて行ってもらうならデートはどこに行きたいですか?
A.昨日皆でお酒を飲みました。おいしいお酒とお料理が楽しめるお店が良いですね。

Q.私は歌が苦手です。伊倉さんはとても歌がお上手ですが、そのような演技以外のプラスアルファの特技はどのように見つけて、どのように伸ばせばよいですか?
A.好きなことをやって、舞台でも披露できるようなレベルまで高めておくことは、表現者としての自信にもつながる。私は歌は小中と合唱団に入っていた。歌の場合はひたすら歌うこと。歌っているうちに、どの筋肉をどのように使えば音がでるのか分かるようになる。自分が歌っている声を録音することも有効。また、ただ歌うだけではなくて、冷静に自分の声や、一緒に歌う他の人の声を聴くことも大事。

松野さん

学生「もうすぐクリスマスですね」
松野(投げやりに)「来なきゃいいのに」

Q.自分がサンタクロースだったら、誰の家に忍び入りたいですか?
A.「忍び入る」って言葉悪いよ(笑)。それはもちろん、愛してくれている皆さんの家です。

Q.本音は?
A.ホントですよ!!

Q.松野さんは舞台にもよく出演されていますが、ズバリ舞台の魅力は何ですか?
A.やっぱりビールでもそうだけど、生が一番。台詞を覚えるのも大変だけど、お客さんの反応が直に感じられるということほど嬉しいことはない。役者をやっててよかったと思う。冥利に尽きる。

最後にキャラクターで一言

岩崎教授「最後に、得意キャラの声をやってください」

杉山 ガンモ(Gu-Guガンモ)&コロ助(キテレツ大百科)
古川 ピッコロ(ドラゴンボール)「悟空それが貴様の全力の技か。(間に一言)。魔貫光殺砲ー!」
野沢 孫悟空&孫悟飯&孫悟天  (ドラゴンボール)
「おい悟飯、新聞で記事にしてもらうみてぇだけど、こんなんででぇじょうぶかなぁ?」「大丈夫ですよお父さん、プロなんですから」
真地 からくりTV&全力教室ナレーション
伊倉 ふかづめ竜子(クレヨンしんちゃん)
松野 スポンジボブ(スポンジボブ)
万丈目準(遊戯王GX)「一、十、百、千、万丈目サンダー!」
森田 バーナビー・ブルックスJr.(TIGER&BUNNY)「僕はバニーじゃなくてバーナビーです!」
森田さん

実演の前に「何をやろうかなー。やや、こんなところにフライヤーが」と机上のフライヤー(客にはパンフレットに挟む形で配布されている)を取り上げて、宣伝。
実演の途中、「僕はバジー……間違えたね」とトチると、周りが「生はこんなこともあります」とフォローされる一幕も。

サプライズ企画

学科長「これ(先生方に)怒られるかなあ。怒るだろうなあ。皆さん(客席)拍手で盛り上げてくださいね」

何が出てくるのかと思ったら――学士の方々が台本を持って出てこられ、パネリストの先生方に一冊ずつ渡されます。
まさかまさかの生アフレコ。先生方は誰も知らされていなかった、完全なサプライズです。
急遽、初見の台本に目を通して生アフレコを行うことに。
急いで台本に目を通すパネリストの方々。

真地「これはギャラは出るんですよね?」
野沢「1ページ100万出してくれるらしいですよ、安心してください」
さらっと挟まれる学科長へのプレッシャー(笑)
学科長「(ギャラは無理だから)わらじやに行こうよ」
わらじや、きっと前夜に飲み会されたお店なんでしょうね。伊倉さんが餅とみかんを持って帰られたという(笑)

古川さんは右手を拳にして口元にあてておられ、伊倉さんはペンで書き込みをされていて、初見の台本にどうあたられるかという面も垣間見ることができました。
古川「コレ事務所通ってますよね?」
杉山「…大丈夫です(笑)」
伊倉「かなりのページ数ですよね(汗)。めくってもめくっても…」
松野「(始めようという声に)も、もう少し待って頂けます!?」

人数も人数で、ごちゃついたため、杉山さんが「私指揮します」。杉山さんは第一部でも学士の方々の指揮をされていました。

生アフレコ

設定:午後11時、声優が住んでいるマンション

ナレーション・真地さんの「ここは大阪芸術大学村、声優マンション」という設定の説明から始まります。
冒頭にあった「粉雪が」という台詞を「コユキが」と間違えられ、伊倉さんからのろけないで、というような軽い指摘が入りました。恋人の名前、というふうにおっしゃったんだったかな?

仕切り直しで再度ナレーションから。
真地「第一村人、発見」

以下、覚えている部分だけつらつらと。当日はこのくだりが楽しすぎて早々にメモをとることを放棄しました^^;

マンションに帰ってくる松野さん(金田一)と森田さん(一護)

森田「寂しいクリスマスだな」
松野「お前もだろ」

松野「これからどうする?」
森田「俺は部屋に帰って妹のケーキ食う。何で兄貴が先に生まれてくるか知ってるか? 後に生まれてくる妹のクリスマスケーキをおいしそうに食うためだ」 (一護(BLEACH)の台詞「何で兄貴が先に生まれてくるか知ってるか?あとに生まれてくる弟や妹を守るためだ!!」のパロディ)

真地「そこに第三村人、発見」

伊倉「高校生が何でこんな時間にうろうろしてるの」

マンションに帰ってきたという体の伊倉さん(香)が松野さん・森田さんと立ち話

松野「新宿駅の掲示板にXYZって書いてありましたもんね」
伊倉「あんのもっこり男~~っ、まぁた美女に~」

不穏な空気になったところに古川さん(あたる)が乱入

古川「ジングルベル~♪」

古川さん歌!!

古川「今夜は僕と楽しい夜を過ごしませんか」

香を口説くも、伊倉さんは100tハンマーで撃退
そこに金斗雲にのった野沢さん(悟空)が登場
悟空に合わせ、古川さんはピッコロへ

野沢「おめぇ顔が緑色だぞ」
古川「これは生まれつきだ!!」 (ピッコロは本編中でも顔色をよくネタにされる)

金田一と一護は高校生なので、外にいるには夜遅いぞという話から

古川「出来の悪い弟たちを持つと兄貴は心配なんだ」

エースの古川さん
エレベータに乗ることになり、案内の音声が杉山さん(コロ助)
なお、エレベータに乗り込むくだりで

森田「野沢さんは金斗雲に乗って行ってください」

杉山「では上の階に行くナリーッ」

最後あたりは皆さんがそれぞれのキャラクターでごちゃごちゃっと喋っておしまい


……雰囲気くらいは伝わりましたでしょうか?
最後のくだりは耳が足りない!と思うくらいでしたが、さすがだなと思ったのは、あの人数でてんでばらばらに喋られても、どなたも埋もれないこと。
それぞれきちんと客席に届くんですね。

ちなみに古川さんの台詞は

古川「今わの際にクリスマスパーティーに行くか」

でした。
今わの際というと「今わの際に言ってやる!」 (あたる(うる星やつら)の台詞(映画「うる星やつら 完結篇」))意識でしょうか。おおっ!と思いました。

生アフレコ・こぼれ話

どのキャラクターも個性が光っていて素晴らしく楽しいサプライズ企画でした。
その中で最も嬉しかったのが、アドリブで入れられたカイ・シデン(機動戦士ガンダム)の台詞。
古川さんがエレベータのくだりの後に、「台本にないけど」と小さく前置いてから「分かりましたよセイラさん」とあの軽妙さを演じてくださいました。
杉山さん・野沢さんと隣同士の席だったこと、会場の客層(客層はバラッバラでしたが、今年芸大を受験する世代という意味で)のこともあってあたる・ピッコロ・エースが主だった中、最後の最後にカイさんを演じてくださったことに心から感謝します。

エンディング

学士の方々も含めた全員での「赤鼻のトナカイ」の合唱を最後に幕が下り、会場は大きな拍手に包まれました。

パネリストの皆さんも立ってテーブルを回って前に出てこられて、笑顔で手を振られ……古川さんが幕が下りるときにまた屈んで両手を振ってくださって、私はもう思い残すことは何もないです。
真面目な感想は全て48さんにお任せして好き勝手に書かせていただきました。
会場ならではのお話や企画も盛りだくさんで、イベントというものは行ける状況にあるならば、とにかくためらわずに飛び込むのが吉だな、ということを実感したシンポジウムでございました!

(文責:榎本)