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2013年12月15日 朝日・大学シンポジウム 声優学概論

概要

タイトル 朝日・大学シンポジウム 声優学概論 始めに「声」があった。(情報ページ
場所 グランキューブ大阪 (大阪国際会議場)
日時 2013年12月15日(日) 14:30~18:00
出演者(敬称略) 杉山佳寿子、古川登志夫、野沢雅子、真地勇志、松野太紀、伊倉一恵、森田成一

 内容

第1部
学生による成果発表
14:30~16:00
  • プロローグ「舞」と「群読」
  • 「ことばで遊そぼ」
  • 「金庫破りと刑事」
  • 「グスコーブドリの伝記」(ダイ博士役:平野正人さん)
  • アニメーションアテレコ「小さなお届けもの」(解説&ナレーション:松野太紀さん)
第2部
花形声優たちのシンポジウム
「声を学問する」
16:15~18:00
  • パネリスト登壇
  • 教壇に立った感想
  • 心に残ることば
  • ハイジが尋ねる声優たちのここだけの話
  • 学士達からの質問
  • 最後にキャラクターで一言
  • サプライズ企画

第2部の流れ

司会進行役として、大阪芸術大学学科長の岩崎富士男教授がご登壇されます。

パネリスト登壇

待ちに待った声優さん方(パネリスト)のご登壇。舞台上のスクリーンに映し出される代表作と共に、上手より登壇されます。
皆さん登場し終えたのち、お一人ずつ自己紹介も兼ねて、代表作を実演してくださいました。

登場時の映像自己紹介兼実演
杉山 ハイジ(アルプスの少女ハイジ)
古川 諸星あたる(うる星やつら) ポートガス・D・エース(ONE PIECE)
野沢 孫悟空(ドラゴンボールZ)
真地 ケンミンSHOWナレーション
伊倉 槇村香(シティーハンター)
松野 金田一一(金田一少年の事件簿)
森田 バーナビー・ブルックスJr.(TIGER&BUNNY) 黒崎一護(BLEACH)

教壇に立った感想

まずは、第一部での生徒さん方の成果発表を受けて、講師として生徒さん方を指導する立場になったことについてのご感想から!

杉山 生徒と一緒になってものを作るのが面白い
古川 俺もこんな時期があった、と昔の自分を見るような気持ち。昔の自分だと思うと、愛しくも感じる
野沢 自分も生徒側に入って(一緒にものづくりをして)みたいと思った
真地 生徒にとっては、これが初舞台になる。今日がスタートラインになるのかなと思うと感慨深い
伊倉 生徒にとっては初の大舞台で、面食らったかと思うが、頑張ったことを褒めてあげたい
松野 生徒たちが日々成長していくのが嬉しい。この舞台のための準備を通して、大きく成長していくと思う
森田 これほどの素晴らしい教員の方々と共にものづくりができるという点では、学生を羨ましくも思っている

心に残ることば

今回は「声」とともに「ことば」が一つのテーマ…ということで、パネリストの皆さんから「心に残ることば」について。
このテーマは突然の振りだったのか、考えるまでの場つなぎのために、杉山さんと古川さんがテンちゃんとあたるで掛け合いを始める一幕も(笑)

杉山 亡き父の言葉だが、「ケ・セラ・セラ」という言葉。呪文のように唱えていると、物事がうまくいくように感じている
古川 敬虔なクリスチャンだった母親が言っていた、「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい」という言葉。辛いことは良いことが来るためのプロセスという考え方だった
野沢 「夢」 。誰かに貰った言葉ではなく、自分の中で持っている言葉。常に夢を持ち、自分で掴んでいきたい
真地 下積みの時代に先輩俳優から頂いた「続けることも才能の一つ」。生徒たちにも、諦めずに続けて欲しいと思う
伊倉 父からの『今は波待ち』という言葉。オーディションの最終でよく落ちて悩んでいた時期に、「今の波に乗ると(今の役に受かると)、その後来る大きな波に乗れなくなるかもしれない」という意味で、父が励ましてくれた
松野 「絆・信用・感謝」の三つを大事にしている。また、山田洋次監督の映画に出させていただいたときに「人に笑いを与えるのは良いこと」という言葉を頂いたので、人を笑わせることができるような人間になりたいとも思っている
森田 姉の『平凡に生きることほど難しいことはない』という言葉。演じるということは、平凡さも含めて人間を描くことであると思っているので、様々なバイトで培った経験を活かした視点で役を捉えるようにしている。

ハイジが尋ねる声優たちのここだけの話

声優さんならではの業界の裏話を…ということで、司会が岩崎教授から杉山さんへとバトンタッチ!

古川 神谷明さんが天敵(笑)オーディションでは、何度も同じ役を争った。北斗の拳でもケンシロウの最終選考に二人で残ったが、原作を読み込んできた神谷さんのあの「アタタタタ」を聞いたときは、敵わないなと思った。
野沢 役は指名で頂くことがほとんど。オーディションを受けたのは、「ゲゲゲの鬼太郎」「銀河鉄道999」「ドラゴンボール」の三回。原作者さんの方から自分の声を選んでいただけたとお聞きしている。
真地 ナレーションは、ボイスサンプルを聴いて選んでもらうことも多い。そのため、自分の授業では、ボイスサンプル作りも実習として行っている。
伊倉 シティーハンターのときは、二日酔いの状態でオーディションを受けてしまったが、逆に、従来のヒロイン像とは違う香の声に合っていたのか、結果として選ばれた。そういう巡り合わせもあるのかな、と思っている。
杉山 私もハイジのオーディションのときは風邪をひいていた。熱が39度あって、少しハスキーな感じだったが、その声色が逆にリアルに感じられたらしく、採用されることになった。
うる星やつらの際も、ラムちゃんを受けに行ったが、キャラクター表を見たときにテンちゃんに呼ばれた気がして、頼み込んでオーディションを受けた結果、テンちゃんとして採用された。
松野 自分の場合は山口勝平さんが天敵のような感じで、ほぼ全敗だったが、金田一では勝てた。オーディションのときは、台詞もうまく言えず、駄目だと思って逆に軽い感じで演じたら、それが良かったようで役をいただけた。
森田 アクシデントがあった方が受かる、というジンクスがある。BLEACHのときは、デスクさんの連絡ミスで、休日にバイクを飛ばして会場に駆け付ける羽目になった。遅刻して駄目かと思ったが、受かることができた。
最近ではキングダムのときに、第一希望として受けるように言われていた役の名簿から漏れていて、一度は帰されたが、疑問に思って申し出て、受けさせてもらった結果、信の役をいただくことができた。

学士達からの質問

お次は、大阪芸術大学の学生さんからパネリストの方々への質問コーナーへ。
質問は印象的な部分のみ簡単に抜粋していますので、より詳しい内容については詳細ページをご覧ください。
開催日がクリスマス前(12月15日)だったこともあり、導入がてら、クリスマス関係の質問がよく挙がっていました。

杉山 Q. 昔の声優さんと今の声優さんとの線引きについて教えてください。
A. 特に線引きはなく、今の子たちを見て、昔の自分のように感じることもある。ただ、失敗を恐れたり、恥ずかしいと思ったりするような傾向は見受けられるので、怖がらずに、是非積極的にトライしてもらいたい。
古川 Q. 古川さんにとってのサンタクロースは?
A. カミさんですね。…ノロケとかじゃなくて、実際いないと困る。いつも自分を助けてくれている。
Q. 自分のキャラが次のページで死ぬというとき、その台詞に向かう気持ちを教えてください。
A. 次のページで死ぬんだな、と思って演じています。自分の場合、体に穴を空けられて死ぬことが多いんですよね(会場笑い)エースもホークス・アイも、ピッコロも…。コレ、回答になってるのかな…(笑)
野沢 Q. サンタクロースに会ったことはありますか?それはどこで?
A. あります。自分の家で。自分自身がサンタクロースだから。
Q. 先ほど、心に残る言葉は「夢」と仰いましたが、今の夢は?
A. 生涯現役!
森田 Q. ズバリ、声優はモテますか?儲かりますか?一番モテそうな森田さんにお伺いします。
A. (松野さんから「どういうことだよ!」とヤジが飛ぶ)モテるよ。人気商売だから、自分の内面を磨いて、観客の目や耳を惹くことは重要。
Q. 声優になって変わったことは何ですか?
A. 舞台で声の演技を活かしたり、逆に俳優のスキルを声の演技に活かしたりすることができるようになり、表現の幅が広がった。
真地 Q. これまでで驚いたプレゼントは何ですか?
A. ウルトラマンティガの役をいただけたこと。「ジュワッ!」だけで全てを表現するのは難しかったが、子供の頃から観ていた番組だったので、最高のプレゼントになった。
Q. 台詞とナレーションとの違いを教えてください。
A. 「ナレーションを演じに行っている」というスタンスで、特に区別はしていない。ナレーションでも、番組の色に合わせて声を変えている。
伊倉 Q. 演技以外の特技はどのように見つけて、どのように伸ばせばよいですか?
A. 好きなことを舞台でも披露できるようなレベルまで高めておくことは、表現者としての自信にもつながる。歌の場合はひたすら歌うこと。また、ただ歌うだけではなくて、冷静に自分の声や、他の人の声を聴くことも大事。
松野 Q. もうすぐクリスマスですね。
A. 来なきゃいいのに。
Q. 松野さんは舞台にもよく出演されていますが、ズバリ舞台の魅力は何ですか?
A. 台詞を覚えるのは大変だけど、お客さんの反応が直に感じられるということほど嬉しいことはない。

最後にキャラクターで一言

名残惜しいですが、そろそろ閉幕。ということで、最後にもう一度キャラの実演をご披露してくださいました。

杉山 ガンモ(Gu-Guガンモ)&コロ助(キテレツ大百科)
古川 ピッコロ(ドラゴンボール)
野沢 孫悟空&孫悟飯&孫悟天  (ドラゴンボールZ)
真地 からくりTV&全力教室ナレーション
伊倉 ふかづめ竜子(クレヨンしんちゃん)
松野 スポンジボブ(スポンジボブ)&万丈目準(遊戯王GX)
森田 バーナビー・ブルックスJr.(TIGER&BUNNY)

サプライズ企画

シンポジウムもこれで終わり…と思いきや、岩崎教授よりサプライズ企画の発表。
なんと生アフレコ!突如台本を手渡されるパネリストの方々…。困惑されながらも、皆さん大急ぎで台本に目を通されます。
眺めるだけで頭に入れていかれる方、細かく書き込みをなさる方…こういう違いを実際に目にできるのも大変貴重な機会で、感動しました。

生アフレコ

舞台はクリスマスイブ。声優さんばかりが住んでいるマンションに、一人ひとりが次々に帰ってくる…というシチュエーション。

真地さんのナレーションに添って、キャラの名前こそ出さないものの、それとわかる特徴的な台詞を多数交えながら、色々なキャラがマンションへと帰ってきます。松野さんの金田一、森田さんの一護、伊倉さんの香、古川さんのあたるやエース、野沢さんの悟空、杉山さんのコロ助などなど…様々なキャラが飛び交う、大変贅沢な一幕でした!

劇の最後には、全員で赤鼻のトナカイを歌い、客席からの拍手とともに幕が降りていきました。

あとがき

「声を学問する」という観点から、声優をめざす学生さん方に向けてメッセージを送る…という趣旨のシンポジウムでしたが、声優業のみでなくお仕事全般に通じるような話も多く、貴重なお話をたくさんいただけた素晴らしい一日でした。

そして何より豪華なメンバーが一堂に会し、TVや商品としてはお目にかかれないような、会場ならではのファンサービス…!
こんなに素晴らしいメンバーかつ大人数での生アフレコに立ち会えるなんて、本当にこういうイベントならでは!という感じで、劇に入るまでのご準備の様子やら、本番に入る瞬間に変わる空気や、キャラが目に浮かんでくるような生き生きとした実演の数々に、「今日この場所に来られてよかった…!」と感激しきりでした。

司会の岩崎教授も大変フリーダムなお方で(笑)、場を和ませつつ、声優さん方の赤裸々な話をどんどんと引き出してくださいました。
次の機会があれば、是非また…いや、絶対に参加したいと思います。本当に貴重で、笑えて、楽しめる、素晴らしいシンポジウムでした!

(文責:48)